分析化学
Print ISSN : 0525-1931
鉱石試料の急熱急冷の前処理による粉砕法
試料の温度急変による粉砕法(第1報)
東 保男吉田 幸人
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1971 年 20 巻 9 号 p. 1092-1096

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抄録

化学分析で鉱石試料調製の際,鉱石を粉砕することは必要である.しかし短時間に堅い鉱石を粉砕することは実際上かなり労力のかかる困難な処理である.今までこの熱的衝撃方法はけい石粉を作る場合に実用され,また分析方面では試料を作る場合にルビーやサファイアのボールの破砕に用いられたことがあるが,詳細な記述はない.そこでこの実験では鉱石を容易に粉砕する方法を具体的に詳細に研究した.この方法は鉱石を粉砕する前に急速に一定温度まで加熱し,加熱した鉱石は冷水中に入れて急冷した.これらの結果から引き出されるおもな結論は次のとおりである.(1)ケイ酸鉱試料の粉砕を行なうとき,この方法によれば時間は短縮され約1/4でよいことになる.(2)急熱急冷の温度差が大であればこの効果は増大する.(3)処理のくりかえしによるこの効果の増大はわずかであった.(4)鉱石の種類によりこの効果は異なる.硬度の増加にしたがって前処理によるこの効果も大きくなる.この方法は目的とする元素がこの処理で失われないことがわかっているときには非常に有効である.

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© The Japan Society for Analytical Chemistry
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