1972 年 21 巻 11 号 p. 1498-1504
硫硝酸と過マンガン酸カリウムにより湿式酸化した生物試料の分解液のように,多量のマンガン(II)を含む溶液中の微量のカドミウム(II)を,1-(2-ピリジルアゾ)-2-ナフトール(PAN)により吸光光度定量する際の妨害イオンの分離条件を,トレーサーとGe(Li)検出器を用いγスペクトロメトリーにより検討した.
マンガン(II)からは硫化物との共沈{捕集剤は硫化アンチモン(III)など}により分離し,銅(II)をTTA錯体としてクロロホルムで抽出除去したのち,チオシアナト錯体としてクロロホルムにより抽出{水銀(II)などと分離},酒石酸カリウムナトリウムの存在でPAN錯体としてクロロホルム中に抽出し,吸光光度定量することができた.生物試料の酸分解液に115Cdトレーサーを加えて求めたカドミウム(II)の本法による回収率は91±2%であった.