1972 年 21 巻 2 号 p. 252-256
河川水中のアルキルベンゼンスルホン酸塩(ABS)の測定には,一般にメチレンブルー(MB)を用いた比色法が用いられ,測定結果もメチレンブルー活性物質(MBAS)として表わされてきた.本研究では比色法の際に調製したMBAS-MB錯化合物の赤外吸収スペクトルをとり,そのスペクトルにおいて波数890cm-1と1010cm-1の吸収がそれぞれMBおよびABSに固有なものであることが確かめられ,その吸収ピーク高の比Y/XがMBASにおけるABS/MBASに比例することがわかったので,はじめに標準試料についてY/XとABS/MBASの関係を示す検量線をつくることによって,未知試料についてABS/MBASを求め,あらかじめ比色法により測定したMBAS濃度にABS/MBASを乗ずることによりABS濃度を求めることができた.