高分子分析を対象として文献を探索することはあまりにも広範囲であって, これらのすべてを網らすることはとうてい不可能である.そのためここでは機器分析法によって行なわれたものを分析機器ごとに分けて取り上げることとした.また期間は主として1971年~1973年に発表されたものを取り上げた.
高分子を分析対象試料として取り扱ううえで基本的に問題になる点は, 単一種類ではなく多種類の分子量, 分子構造をもった化合物が適当に混在することになり, 一つの集団としての特性をもって実用上の目的に役だっている一方, 分析機器を用いるために必要な標準試料はごく例外を除いてほとんどモデル化合物しかなく, 実際の試料との間に隔たりがあって, これをいかにして分析技術的に解決していくかということが, 今後も続く問題点である.