抄録
カール・フィッシャー反応を利用した水分定量法に電量滴定法を応用するための専用の電解液の組成を検討した.発生液(陽極室の電解液)は二酸化イオウとヨウ化カリウムとを含むピリジン溶液で,アンプル中に密封保存され,長期間安定に保たれる(少なくとも2年間).使用に際しては,試料に応じて任意のアルコール性溶媒と任意の割合で混合することができる.たとえば107mA(1秒間の電解が水10μgに相当する)の電解電流を使うとき,二酸化イオウについて7M,ヨウ化カリウムについて0.35Mを含む保存用発生液は,その15mlとメタノール60mlを混合して使うとき,液体試料なら約0.5gの,また気体,固体試料なら約1.2gの水分を,それぞれ測定できる能力をもっている.
対極液(陰極室の電解液)としては,(1)0.1~1Mヨウ化カリウムのメタノール溶液,あるいは(2)0.05~2M二酸化イオウのピリジン-メタノール混合溶液が最も適当であった.