分析化学
Print ISSN : 0525-1931
プロムピロガロールレッドとゼフィラミンによるモリブデン(VI)の吸光光度定量
出口 正一飯塚 雅樹屋敷 幹雄
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1974 年 23 巻 7 号 p. 760-764

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抄録

希塩酸酸性溶液中でモリブデン(VI)はゼフィラミンの共存下において,プロムピロガロールレッドと反応して青色錯体を生成する.この呈色を利用したモリブデン(VI)の吸光光度定量法を検討した.
この錯体の吸収極大は629nm付近にあり,最終溶液の塩酸濃度が0.16~0.24 Nの間で最大かつ一定の吸光度が得られた.検量線はモリブデン(VI)2~25μg/25m lで直線性を示した.検量線から求めたモル吸光係数は55600であり,吸光度0.001に対する感度は0.0017μg/cm2であった.連続変化法によるモリブデンとブロムピロガロールレッドの組成比は1:1と推定された.本法の選択性は比較的良好であり,若干の妨害イオンもEDTA,L-アスコルビン酸,フッ化アンモニウムなどの添加により,その共存許容量を増大することができた.しかしタングステン(VI)による妨害は除去することが困難であった.本法をタングステンを含まない鉄鋼中のモリブデンの定量に応用した結果,測定値は標準値とよい一致を示した.

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© The Japan Society for Analytical Chemistry
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