1975 年 24 巻 3 号 p. 174-178
水溶性のビス(4-スルホベンジル)ジチオカルバミン酸水銀(Hg-BSDTC)とニトリロトリ酢酸銅の混合試薬溶液をシアンイオンに作用させると,シアンイオンの量に応じた黄かっ色のCu-BSDTCを生ずる.この呈色を433nmで測定することにより,シアンイオンを定量した.5ml中10μg以下のシァンイオンについて,検量線は原点を通る良好な直線となり,15μgまで定量可能であった.本法は,イオウ,チオ硫酸,ヨウ素などのイオンで妨害されるが,これらは蒸留法により妨害を除くことができた.また混合試薬を粉末で添加する方法を試み,更にこの呈色を人工の比色標準液と比色する簡易分析法も検討した.