分析化学
Print ISSN : 0525-1931
ESRによるニトロキシドラジカルの定量
安部 和久渡部 徳子藤原 鎮男
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1978 年 27 巻 2 号 p. T9-T13

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抄録

遊離のニトロキシドラジカルのESR信号の強度(吸収曲線の一次微分曲線の振幅)を定量する場合の測定条件の決め方や測定法について,1例を報告した.マイクロ波出力(P),磁場変調幅(M),磁場掃引速度と装置の時定数などに対する,ESRシグナル強度の依存性や再現性を調べ,P<8mW,M<0.4ガウスで測定した場合,±3%以内の誤差でシグナル強度を求められることを明らかにした.又,濃度域(10-6~10-4)Mのテンポコリン水溶液は,変調磁場0.32ガウスで,一次微分曲線の振幅から直線性よく定量できること,及び(10-7~10-6)Mの濃度域の水溶液では,変調磁場の大きさを線幅の倍程度に大きくし,時間をかけて測定すれば,この範囲でも直線性のある検量線を求めることができることを示した.10-3M以上の濃度領域では,線形が変わるため,振幅からは直線性のよい検量線は求められず,2回積分などのデーク処理が必要である.

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© The Japan Society for Analytical Chemistry
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