分析化学
Print ISSN : 0525-1931
チオシアン酸塩及び界面活性剤を用いるコバルト(II)の吸光光度定量
林 謙次郎佐々木 義明田頭 昭二伊藤 和晴鈴木 光泰
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1978 年 27 巻 4 号 p. 204-208

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抄録

コバルト(II)イオンとチオシアン酸塩とを含む溶液にトリトンX-100溶液を加えると安定な青色を呈し,この溶液は628nmに吸収極大を示す.この現象を利用したコバルト(II)の吸光光度定量法について検討した.その結果,pH4.7,トリトンX-100濃度2.5(v/v)%,及びチオシアン酸塩濃度1.25mol dm-3の条件下で(1×10-5~5×10-4)mol dm-3のコバルト(II)を定量できることが分かった.カドミウム(II),鉄(III),銅(II),亜鉛(II),及びニッケル(II)が妨害するが,このうち,カドミウムの妨害はトリトンX-100濃度を高めることにより避けることができる.又,鉄及び銅の妨害は,それぞれフッ化物イオン及び塩酸ヒドロキシルアミンの添加により除去される.本法は迅速,簡便,かつ選択性の高い定量法である.トリトンX-100の添加による発色機構についても検討した.

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© The Japan Society for Analytical Chemistry
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