1978 年 27 巻 7 号 p. 415-419
阻止グロー放電を利用した新しいグロー放電管を作製し,陰極スパッタリングにより平たんな金属材料を直接原子化する原子吸光分析法について検討した.放電用希ガスにはアルゴンを使用した.電流-電圧特性曲線から,試作したグロー放電管は異常グロー領域で点燈していることが分かった.
黄銅試料(銅:59.5%,亜鉛:34%含有)について,放電電圧及び放電電流と銅の吸光度(分析線:216.5nm),更に放電電圧とスパッタリング率との関係を求めた.又,日本鉄鋼協会の高速度鋼を用い,コバルトの含有率と吸光度との関係を調べた.高速度鋼中のコバルトの検出限界(S/N=2)は0.05%であった.本法を実際試料に応用するには,適当な内部標準元素を選び二波長原子吸光測定を行う必要性のあることが分かった.