1979 年 28 巻 4 号 p. 258-263
1,2-シクロヘキサンジオンジオキシム(ニオキシム)によるμgレベルのニッケル(II)の選択的沈殿分離条件を検討し,ニッケル(II)の沈殿分離けい光X線分析法に応用した.多量の鉄(III),コバルト(II),銅(II)が共存してもこれらは,酒石酸ナトリウムとCa-EDTAによって完全にマスキングすることができ,pH7.0~9.5の範囲で数μgのニッケル(II)を定量的に沈殿させ回収できる.沈殿の完結に要する時間は15分で,5.00μgのニッケル(II)が最大100mlの溶液から定量的に沈殿する.この方法を土じょう及びコバルト試薬中のニッケル(II)の分析に応用した.