1980 年 29 巻 12 号 p. 829-833
ヘキサフルオロケイ酸をN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)に作用させると,分析結果よりヘキサフルオロケイ酸のDMF付加物(H2SiF6-3DMF)と推定される固体を取り出すことができる.これを滴定における標準試薬として用いることを検討した.
DMF中において,この付加物とアルカリ土類金属及びアルミニウムとの反応を伝導度滴定法により検討した結果,金属によって反応比は異なるが,金属:H2SiF6=4:1,2:1,1:1の各点に変曲点が得られ,更に,2者混合試料についても反応比の違いにより両者の同時定量が可能であった.滴定に際して,無機酸の影響はみられず,共存水分も1%以内であれば結合比に影響は認められなかった.