分析化学
Print ISSN : 0525-1931
ホスホン酸ビス(2,4-ジアミノフェニル)によるクロム(VI)の吸光光度定量
ホスホン酸ジフェニルの性質と反応性に関する研究(第10報)
盛 秀彦藤村 義和武上 善信
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1981 年 30 巻 10 号 p. 652-656

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抄録

ホスホン酸ビス(2,4-ジアミノフェニル)(以下APPと略記)を合成し,APPを用いるクロム(VI)の吸光光度定量の基礎的条件を検討した.APPはクロム(VI)で酸化発色し,溶液のpH(3.0~4.5)でとう色(λmax465nm),pH(0.5~2.0)で赤色(λmax500nm)を呈する.クロム(VI)濃度が(20~100)μg/50mlの範囲で吸光度との間に直線関係が成立する.pH(3.0~4.5)でのモル吸光係数は6.52×103mol-1dm3cm-1,Sandell感度は7.97×10-3μgcm-2,pH2以下でのモル吸光係数は3.85×103mol-1dm3cm-1,感度は1.34×10-2μgcm-2である.酸化還元性物質の共存は定量を妨害するが,pH2以下での条件では鉄(III),バナジウム(V)及び亜硫酸イオンはクロム(VI)の1/2倍量,銅(II)及びモリブデン(VI)は10倍量の共存が許容された.

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© The Japan Society for Analytical Chemistry
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