鉱泉水中のF
-,CI
-及びBr
-の定量に,イオンクロマトグラフィー(IC法)を用いることにっいて検討した.IC法では,ピーク高さ法による測定において検量線は広い濃度範囲で直線性を示し,濃度差の大きいイオンでも測定レンジの切り換えにより同時定量が可能である.
擬似鉱泉水20検体を作成し,IC法及び鉱泉分析法指針に採用されている方法{フッ化物イオンはランタン-アリザリンコンプレクソン吸光光度法及びイオン選択電極法,塩化物イオンは硝酸銀滴定法(モール法),臭化物イオンは次亜塩素酸ナトリウム酸化-ヨウ素滴定法}で定量し,比較検討した.IC法は感度,精度とも良好で,分析操作が非常に簡便,迅速化され,又従来法による分析値との一致も良く,相関係数はそれぞれF
-:0.9985(IC法-電極法),0.9966(IC法-吸光光度法);Cl
-:0.9969(IC法-滴定法);Br
-:0.9726(IC法-滴定法)であり,十分従来法に代わりうるとの結果を得た.
鉱泉水中のフッ化物イオン,塩化物イオン及び臭化物イオンの定量において,IC法と鉱泉分析法指針に採用されている方法との比較を行った.IC法は感度,精度も十分で,従来法による定量値との相関も良く,かつ分析操作が非常に簡単になることなどにより,今後広く鉱泉水の分析に利用されることが期待できる.
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