分析化学
Print ISSN : 0525-1931
誘導結合プラズマ-発光分光分析法によるバブルガーネット膜の組成分析
小嶋 寿夫北爪 英一永田 文男江沢 正義
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1981 年 30 巻 10 号 p. 667-672

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抄録

高周波誘導結合プラズマー発光分光分析法により,ガドリニウム-ガリウム-ガーネット基板上に液相生長法で育成した磁性ガーネット膜(YSmLuCa)3(FeGe)5O12の組成分析法を検討した.スペクトル強度はリン酸の干渉で著しく減少する.発光強度の減少は,試料溶液粘度の増加及び溶液噴霧量の減少と密接に関係するが,プラズマ炎中の最高強度を示す位置は変化しないことが明らかになった.共存イオンによる影響を低減するため,有機溶媒添加及び内標準添加法を調べた結果,後者が優れていた.内標準添加(亜鉛8μg/ml)ではリン酸10%による干渉を約1/3に低減できた.正確さを向上させるには標準溶液と試料溶液との濃度差を少なくする必要がある.両者間の濃度を一致させた場合の正確さは1%以内である.本法での相対標準偏差は,6元素同時定量で2%以内であった.膜量数mg以下の磁性ガーネヅト膜に本法を適用し満足すべき結果を得た.

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© The Japan Society for Analytical Chemistry
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