分析化学
Print ISSN : 0525-1931
C18-結合型ガラスビーズによる前濃縮を利用するバソフェナントロリンによるこん跡量の鉄の吸光光度定量
田口 茂吉倉 千里後藤 克己
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1982 年 31 巻 1 号 p. 32-36

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抄録

ガラスビーズの表面にオクタデシル基を導入した吸着剤(C18-結合型ガラスビーズ)を用いて,水中のppbレベルの鉄をバソフェナントロリン錯体として吸着させ,少量のエタノールとジメチルスルホキシドの混合溶媒で溶出し,吸光光度定量する方法を検討した.この方法では,少なくとも100倍の濃縮が可能であり,(0.6~5)μgの鉄を精度よく定量できる.
カドミウム,ニッケル,コバルト,銅などは多量に共存すると妨害するが,その他のイオンの多くは妨害しない.
河川水中の鉄の定量に応用し,既知量の鉄を加えたときの回収はほぼ定量的であった.又,C18-結合型ガラスビーズとアンバーライトXAD-2及びXAD-7を用いて錯体の吸着・溶出挙動を比較したところ,ガラスビーズのときに最も速やかに溶出し,従って高い濃縮率を得ることができた.

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© The Japan Society for Analytical Chemistry
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