分析化学
Print ISSN : 0525-1931
塩酸チアミンの簡易定量法
加藤 幸子田辺 良久
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1982 年 31 巻 9 号 p. 513-517

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抄録

塩酸チアミンの簡易定量法を考案しようと試み,ジアルキルスルフィドなどの定量に用いられている酸性で臭素酸塩-臭化物溶液で滴定する方法について検討した.塩酸チアミンは酸性で臭素と反応しないが,10%水酸化ナトリウム溶液を加え沸騰水浴上で15分間加熱後氷冷し,塩酸酸性で臭素酸カリウム-臭化カリウム溶液で滴定すると常に塩酸チアミン1モルに対し臭素酸カリウム-臭化カリウム溶液の4.3当量(臭素4原子に相当する)を消費した.この滴定の際に,一度液が脱色し,再び過剰の臭素で黄色になったらヨウ化カリウム溶液とデンプン溶液を加えてチオ硫酸ナトリウム溶液で逆滴定し,両液の差を滴定量とする.この方法は2mlの試料中の塩酸チアミン量(10~50)mgに対し,用いる水酸化ナトリウム溶液は(10~20)%溶液2ml,加熱時間は15分がよく,ブドウ糖の影響はほとんどなく,塩酸チアミンとして約10mgの試料では±0.5%以内の精度であった.

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© The Japan Society for Analytical Chemistry
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