分析化学
Print ISSN : 0525-1931
高速液体クロマトグラフィーによるベンゾイルアセトン及びトリフルオロアセチルアセトンの金属キレートの幾何異性体の分離と定量
山崎 満一ノ木 進五十嵐 理恵子
著者情報
ジャーナル フリー

1983 年 32 巻 10 号 p. 605-610

詳細
抄録

ベンゾイルアセトン(BA)及びトリフルオロアセチルアセトン(TFA)のコバルト(III),クロム(III),ロジウム(III)キレートの幾何異性体の高速液体クロマトグラフィー(HPLC)による分離と定量法を検討した.BAキレートに対して,塩基性アルミナカラムを用い,ヘキサン-2-プロパノール(100:0.15)を溶離液に用いたとき,又,TFAキレートに対して,シリカゲルカラムを用い,ベンゼン-ヘキサン(60:40)を溶離液に用いたとき,各キレートのシス,トランス異性体は(9~28)分で良好に分離した.カラム温度を一定{(22.0±0.1)℃}にすることにより,保持時間とピーク高さの再現性は良好になり,検量線は(10-6~10-3)mol/lの濃度範囲で直線を示し,回帰直線の相関係数は平均0.9995であった.異性体の検出限界(S/N=4)は,(1~6)×10-6mol/lであり,2μlの注入量に対し,(1.2×10-11~2.8×10-12) molに相当する.回収実験での回収率は平均98.8%, 定量値の変動係数は平均13%であった.

著者関連情報
© The Japan Society for Analytical Chemistry
前の記事 次の記事
feedback
Top