1985 年 34 巻 8 号 p. 478-482
光音響分光法を気体分析に応用し,窒素中の微量水分の定量を試みた.二重管共鳴型セルを用いることで感度の向上を図った.水分子は,近赤外領域に強い吸収バンドを有するが,光源としてハロゲンランプを使用している理由から1~2μmの波長範囲内の吸収バンドを測定に用いた.定量を行うための標準ガスの調製,最適諸条件の検討を行った.又,断続周波数の共鳴周波数からのずれによる誤差は,セル内の温度を測定し,断続周波数の温度補償を行うことで防いだ.検出限界は,2.5ppm(S/N=2)と良好であり,広いダイナミックレンジを有する結果を得た.又,指示が平衡に達する時間も従来の方法と比べ格段に短い.以上より,気体中に含まれる数十ppm付近の微量水分を迅速かつ簡便に定量することが可能となった.