分析化学
Print ISSN : 0525-1931
34 巻, 8 号
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  • 中村 洋
    1985 年34 巻8 号 p. 423-463
    発行日: 1985/08/05
    公開日: 2010/01/15
    ジャーナル フリー
    著者らが開発した方法を中心として,各種生体成分の蛍光分析法に関する総説を試みた.主な内容は下記のとおりである.
    1. 硫黄化合物:インドフェノールブルーによる亜硫酸水素イオン及びBunte塩の蛍光定量,ポストカラム亜硫酸分解とオルトフタルアルデヒド(OPA)-タウリン試薬を用いるチオールとジスルフィドの高速液体クロマトグラフィー(HPLC)による同時蛍光定量.
    2. α-オキソメチレン化合物(R-CH2-CO-R'):N1-メチルニコチンアミドクロリド(NMN)による各種α-オキソメチレン類の蛍光定量,NMNをプレカラム試薬とするα-オキソメチレンのHPLC蛍光定量,NMNをポストカラム試薬とする環状ケトン,フェノン,α-ケト酸のHPLC蛍光定量.
    3. トリプトファン及び3-置換インドール化合物:過塩素酸スプレー試薬による3-置換インドール類の薄層クロマトグラフィー(TLC)による蛍光検出,過塩素酸による生体内インドールの蛍光定量,過塩素酸をポストカラム試薬とする生体内5-ヒドロキシ及び5-メトキシインドール類のHPLC蛍光定量,蛍光性Koshland試薬のタンパク質化学への応用.
    4. アミノ化合物:OPA-チオール試薬をポストカラム試薬に用いる脳内第一アミノ基化合物の蛍光定量,ポストカラム次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)分解/OPA-チオール法による第二アミンのHPLC蛍光定量,フルオレサミン(FLA)による第一アミノ基化合物のTLC蛍光検出,FLAとメンブランフィルターを用いるタンパク質の蛍光定量,FLAと強酸を用いるインドールアミン,イミダゾールアミン,カテコールアミンの特異的蛍光分析,FLAによる第二アミンの蛍光分析,2-メトキシ-2,4-ジフェニル-3(2H)-フラノン(MDPE)による第二アミンの蛍光定量,MDPFをプレカラム試薬とする第一アミンと第二アミンのHPLCによる同時蛍光定量.
  • 二次蛍光微分法の適用
    高山 祐一, 合田 四郎, 森重 清利, 重松 恒信, 西川 泰治
    1985 年34 巻8 号 p. 465-471
    発行日: 1985/08/05
    公開日: 2009/05/29
    ジャーナル フリー
    ジスプロシウム-EDTA-スルホサリチル酸(SSA)三元錯体を合成し,吸収,蛍光スペクトル,量子収率,蛍光寿命を測定し,本三元錯体の吸収,発光の特性並びに遷移過程を考察した.その結果,この三元錯体の発光(Ex 325 nm, Em 576 nm)は錯体内のジスプロシウム(III)の4f電子の4F9/26H13/2に基づく蛍光放射と帰属した.この三元錯体の生成に基づくジスプロシウムの蛍光定量法の諸条件を検討し,更に微量ジスプロシウム蛍光微分定量法を確立した.本錯体の二次蛍光微分定量法を開発し10~100ngのジスプロシウム(III)イオンが定量できた.共存塩の影響について詳細に検討し,ゼノタイム,モナズ石中のジスプロシウムを迅速に,精度よく定量する方法を確立した.
  • 伊藤 醇一, 川島 英毅, 遠藤 克則, 前田 倫男, 深沢 力
    1985 年34 巻8 号 p. 472-477
    発行日: 1985/08/05
    公開日: 2009/05/29
    ジャーナル フリー
    試料5~10gを用い,フッ化水素酸その他の酸による化学処理と2段階の重液分離によって炭化ケイ素を単離しひょう量する.次いでX線回折分析,蛍光X線分析及び顕微鏡観察をして炭化ケイ素の同定,どんな構造型のものから成るか,妨害物質が含まれていないこと,粒度などを調べる.構造多形をもつ炭化ケイ素の構造型や粒度のような情報はその出所,その他の議論に役立つ.定量下限は約0.02% である.同定に対する妨害物質,回収率及び実際試料の分析例も示してある.3種の試料の分析例からすると一般の土壌試料に応用できると思われる.
  • 羽広 昌信, 杉谷 嘉則, 長島 弘三, 加藤 健次, 小島 益生
    1985 年34 巻8 号 p. 478-482
    発行日: 1985/08/05
    公開日: 2010/05/07
    ジャーナル フリー
    光音響分光法を気体分析に応用し,窒素中の微量水分の定量を試みた.二重管共鳴型セルを用いることで感度の向上を図った.水分子は,近赤外領域に強い吸収バンドを有するが,光源としてハロゲンランプを使用している理由から1~2μmの波長範囲内の吸収バンドを測定に用いた.定量を行うための標準ガスの調製,最適諸条件の検討を行った.又,断続周波数の共鳴周波数からのずれによる誤差は,セル内の温度を測定し,断続周波数の温度補償を行うことで防いだ.検出限界は,2.5ppm(S/N=2)と良好であり,広いダイナミックレンジを有する結果を得た.又,指示が平衡に達する時間も従来の方法と比べ格段に短い.以上より,気体中に含まれる数十ppm付近の微量水分を迅速かつ簡便に定量することが可能となった.
  • 飯沼 文夫, 田原 正義, 八代 和子, 渡辺 光夫
    1985 年34 巻8 号 p. 483-486
    発行日: 1985/08/05
    公開日: 2010/01/15
    ジャーナル フリー
    キヌレン酸の蛍光は100mM酢酸亜鉛(II)存在下で著しく増大し,344nm に最大励起波長を持ち,398nmに最大蛍光波長を持つ蛍光スペクトルを示した.検量線は150pmolから4.5nmolの範囲で原点を通る直線を示した.4.5nmolでの相対標準偏差は1.36%(n=6)であった.尿の前処理操作に強酸性イオン交換樹脂を詰めた小型カラム(3cm×0.3cm i.d.)を用い,迅速・簡便な前処理法を確立した.キヌレン酸7.2nmolを尿の前処理操作に従い処理した後,定量したときの相対標準偏差は3.73%(n=5)であり,異なる尿試料での添加回収率は97.2±11.6%(n=5)であった.成人の24時間尿中に排せつされたキヌレン酸量(尿試料を5日間にわたって採取した)は,8.10±0.88μmol/d(男性,39才)と11.6±2.09μmol/d(男性,31才)であった.
  • 石塚 紀夫, 上蓑 義則, 柘植 明
    1985 年34 巻8 号 p. 487-491
    発行日: 1985/08/05
    公開日: 2009/05/29
    ジャーナル フリー
    酸化ジルコニウム粉末試料中不純物(9元素)の定量のため,フッ化水素酸及び硫酸により加圧酸分解した試料溶液を対象にした.試料溶液のマトリックス成分であるジルコニウムは各元素の発光強度をかなり減少させた.又ジルコニウムは各元素の測定波長域のバックグラウンドを増加させた.そのため,試料溶液にマトリックスをマッチングさせた溶液を用いて,各元素の検量線を作成する必要があった.実試料の分析を行った結果,ケイ素以外の8元素では,二つの酸分解法で得た定量値は互いによく一致した.ケイ素については,フッ化水素酸分解法での定量値は,マスキング剤としてホウ酸を添加したものの,フッ化物イオンの影響のためかなりばらついた.
  • 森 定雄, 加藤 昌俊, 鈴木 正巳
    1985 年34 巻8 号 p. 492-496
    発行日: 1985/08/05
    公開日: 2010/05/07
    ジャーナル フリー
    粒子径5~10μmの水系サイズ排除クロマトグラフィー用(SEC)充てん剤多孔性ガラスのカラム充てん法及び水系SEC用充てん剤としての性能について検討した.充てん法として高粘度スラリー充てん法を用い,スラリー溶媒としてメタノールとエチレングリコールの混合溶媒を用い,その割合は充てん剤の粒子径,細孔径に適した粘性になるように調節した.更に充てん溶媒にスラリーと混ざり合わないn-ヘプタンを用いることによって,カラム長さ25cm当たり12000段の理論段数を得ることができた.細孔径170Åと500Åの充てん剤についての校正曲線を水溶性高分子標準試料プルラン(PUL)を用いて作成した.PULのクロマトグラムや校正曲線の形状から,既に市販されているシリカゲルカラムなどと同様に水系SEC用カラムとして使用可能であることが分かった.
  • 渡辺 邦洋, 青木 伊豆男
    1985 年34 巻8 号 p. 497-503
    発行日: 1985/08/05
    公開日: 2010/01/15
    ジャーナル フリー
    ベリリウムの蛍光定量試薬として提案されているサリチリデン-2-アミノフェノールが,多量アミンの共存下でアミンの交換反応を起こすことを明らかにし,アミンを共存させてサリチルアルデヒド又はそのアルキル誘導体を試薬とするベリリウムの蛍光定量法を確立した.使用するアミンを19種類検討し,モノアミンよりジアミンが優れ,中でもN,N-ジメチル-1,3-プロパンジアミンが感度,錯体の安定性において最も優れていた.サリチルアルデヒドのアルキル誘導体の中では2-ヒドロキシ-5-メチルベンズアルデヒドが最も高感度であった.錯体は水溶液中でアルデヒドとアミンが1:1で反応し生成したシッフ塩基とベリリウムの1:1の組成で,錯体生成pHは使用するアミンの種類に依存していた.最適定量条件では8×10-5~0.16μg/mlの範囲でベリリウムが定量可能であった(0.95μgのベリリウムに対する相対標準偏差1.4%).又,ビスサリチリデン-エチレンジアミンを試薬とし,水溶液中でのアミン交換反応を利用して錯体を生成させる方法についても検討し,良好な結果を得た.
  • 黄 漢国, 王 曉安
    1985 年34 巻8 号 p. 504-507
    発行日: 1985/08/05
    公開日: 2010/05/07
    ジャーナル フリー
    本報はクエン酸を電解液として,高電圧濾紙電気泳動法(HVPE)で希土類元素を分離,2-テノイルトリフルオロアセトン-フェナントロリン抽出蛍光法により分離されたサマリウム及びユウロピウムを同時定量する方法について検討した.HVPEでの希土類金属イオンの泳動距離と原子番号並びにイオン半径との相関は密接であり,電圧3000 V,泳動時間25分間で,La3+-Ce3+-Pr3+-Nd3+-Sm3+(Eu3+)の順で軽希土類金属イオン間の分離ができ,又それらのイオンとFe3+,Sc3+及びY3+などの金属イオンとの分離効果もよかった.HVPE-蛍光法の併用により,20~800ng/10mlの範囲でユウロピウムの回収率は97.8%,サマリウムは94.0%であり,混合希土類金属酸化物に適用した結果,0.023μgの酸化ユウロピウム(III)及び0.026μgの酸化サマリウム(III)が精度よく同時定量された.
  • 野副 尚一, 染野 和雄
    1985 年34 巻8 号 p. 508-509
    発行日: 1985/08/05
    公開日: 2009/05/29
    ジャーナル フリー
    High-purity silane is a raw material for semiconductor devices or solar cells. The quantitative analysis of low levels of phosphine is practically very important but there are few published reports on the gas chromatographic analysis of phosphine in silane. A Shimadzu GC-7A gas chromatograph equipped with a flame photometric detector and a stainless column filled with Porapak Q (80100 mesh) was used. The column temperature was 100°C and the flow rate of helium carrier gas was 60 ml/min. The volume of the sample loop was 2.8 ml. The pre-cut method was used since the difference in the retention times of phosphine and silane was enough to separate them with a stainless steel column (5 m×3 mm i. d.). Low levels of phosphine ranging from 10 ppm to 0.5 ppb could be quantitatively analyzed by the present method.
  • 渡辺 邦洋, 高橋 覚自
    1985 年34 巻8 号 p. 509-512
    発行日: 1985/08/05
    公開日: 2009/05/29
    ジャーナル フリー
    It has been reported that selenium and tellurium react with bismuthiol II to form 1 : 4 complexes(Se or Te : reagent). In this work the composition of the complexes precipitated from an aqueous phase was also confirmed to be 1 : 4 by elementary analysis. However, it was revealed that the complexes were mixtures of Se(II)- and/or Te(II)-bismuthiol II, and disulfide of the reagent by vapor pressure osmometry. Selenium (IV) and Tellurium(IV) oxidize a part of the reagent to disulfide and are themselves reduced to Se(II) and Te(II), followed by combining with the reagent to from the Se- and Te-bismuthiol II complexes. This reaction is quantitative and the disulfide contained in the precipitate was confirmed by IR spectra. Once large amounts of the precipitates are dissolved in benzene and chloroform, they soon reprecipitate from the organic phase. The precipitates were confirmed to be 2 : 2 complexes by elementary analysis, mass spectra, and gel permeation chromatography.
  • 八尾 俊男, 松本 義宏, 和佐 保
    1985 年34 巻8 号 p. 513-515
    発行日: 1985/08/05
    公開日: 2009/05/29
    ジャーナル フリー
    A flow injection system for enzymatic determination of ethanol in serums is described. A phosphate buffer (0.1 M, pH 8.0) containing 1 mM potassium hexacyanoferrate(II) served as the carrier solution and was pumped at a constant flow rate of 1.4 ml min-1. The system includes an amperometric peroxidase electrode to measure hexacyanoferrate(III) converted from hexacyanoferrate(II) by hydrogen peroxide, which is generated by injecting 10-μl sample into an immobilized alcohol oxidase reactor. The peroxidase electrode operates at 0.0V vs. Ag/AgCl. The peak current was linearly proportional to the ethanol concentration in the range of 0.0210mM; 120140 samples per h could be processed with satisfactory precision(12% R.S.D.).
  • 宮崎 章, 木村 明, 田尾 博明, 番匠 賢治
    1985 年34 巻8 号 p. 515-518
    発行日: 1985/08/05
    公開日: 2009/05/29
    ジャーナル フリー
    For the rapid and sensitive determination of metals in water by inductively coupled plasma emission spectrometry (ICP-ES), a combination of simple solvent extraction with a modified volumetric flask and introduction of the extract to the ICP torch by ultrasonic nebulization was investigated. Sample solution (260 ml), ammonium pyrrolidinedithiocarbamate (APDC) solution, hexamethyleneammonium hexamethlenedithiocarbamate (HMAHMDC) methanolic solution, acetate buffer(pH 4.2), and 8 ml of diisobutylketone(DIBK) were stirred vigorously in the extraction vessel for 7 min by a magnetic stirrer. The extract was introduced into the ultrasonic nebulizer by the displacement bottle method and analyzed by ICP-ES. Detection limits for Cd, Co, Cu, Fe, Mo, Ni, Pb, Zn, and V of the method were consistently lower than those by a pneumatic nebulizer. Metal blank was lower (<0.005μg) than that of the separatory funnel method. The proposed method was applied to the analysis of NBS SRM 1643a, metal plating plant waste waters, and coastal seawaters.
  • 三笠 博司, 本水 昌二, 桐栄 恭二
    1985 年34 巻8 号 p. 518-521
    発行日: 1985/08/05
    公開日: 2010/01/15
    ジャーナル フリー
    Flow injection analysis(FIA) was examined for the fluorometric determination of ammonia in river water. Ammonia reacted with ο-phthalaldehyde(OPA) in the presence of 2-mercaptoethanol(ME) to form a fluorescent substance at pH 9.5. The reagent solution containing 10-2 M OPA and 10-3 M ME and the carrier fluid(distilled water) were propelled by a double plunger pump at a rate of 1.2 ml/min. The 40μl sample solution, injected into the carrier stream, was mixed with the reagent solution in a Teflon tubing (3 m, 0.5 mm i.d.) and led to a flow cell(18 μl). Fluorescence excited at λex=350 nm was measured at λem=486 nm. Ions present commonly in river waters did not interfere with the determination of ammonia. An anion exchange column installed just behind a sample injection valve in the flow system was effective in eliminating interferences with amino acids. Using the proposed FIA system, trace amounts of ammonia(3150 ppb as nitrogen) in river water were determined in the rate of 40 samples per h.
  • 斉 加実彦, 矢崎 弘明, 藤沼 弘
    1985 年34 巻8 号 p. T109-T112
    発行日: 1985/08/05
    公開日: 2009/05/29
    ジャーナル フリー
    黒鉛炉原子吸光法によるスズ,ヒ素,アンチモン,テルルの定量方法において,ランタンの添加は定量成分について増感効果があり,又干渉抑制効果があり,既に報告した.これらの元素と周期表での位置が近くにあり,工業面でも関心のあるインジウムを対象とし,既報に準じ,酸濃度,混在する酸などの試料溶液条件,原子化条件,共存成分の影響とランタンの共存効果などを検討し,分析条件を定め,亜鉛精鉱試料中の微量インジウムの定量方法に利用して,ほぼ満足な結果を得た.本実験は黒鉛炉法による微量成分分析法の実用性を求める目的のほか,ランタンの作用の機構を知ることをも意図したもので,その一端として,ランタン溶液使用後の黒鉛炉内部表面の観察など行ったがそれからは原因究明の手がかりは得られなかった.
  • 江藤 元則, 成松 恭二, 長井 貞夫
    1985 年34 巻8 号 p. T113-T115
    発行日: 1985/08/05
    公開日: 2009/05/29
    ジャーナル フリー
    パラジウム触媒中のパラジウムをヨウ化カリウム標準溶液で電位差滴定する方法について検討した.パラジウムの王水溶液に硫酸5mlを添加し,砂浴上で硫酸の白煙が発生するまで加熱した後,水で希釈して滴定した.本法と従来法(ヨウ化パラジウム重量法)を用いてパラジウム触媒中のパラジウムを定量した結果,両方法による定量値に有意差は認められなかった.本法によればパラジウム触媒中のパラジウムを従来法より迅速かつ簡便に定量することが可能である.
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