分析化学
Print ISSN : 0525-1931
1,10-フェナントロリンとテトラヨードフルオレセインを用いるニッケルの高感度抽出吸光光度定量
星 座高松 泰仁井上 貞信松原 睦哉
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1986 年 35 巻 10 号 p. 864-868

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抄録
ニッケル(II)-1,10-フェナントロリン(phen)錯体とテトラヨードフルオレセイン(TIF)とから成る三元錯体はpH7.0~8.0のアルカリ性領域からニトロベンゼンによく抽出される.この抽出反応が幾つかのマスキング剤存在下でニッケルに対し,かなり選択的になることを利用してその吸光光度法を開発した.抽出される三元錯体の組成は鉄(II)三元錯体の抽出系との類似性からニッケル:phen:TIF=1:3:2であると推定され,見掛けのモル吸光係数は1.9×105dm3mol-1cm-1であった.ニッケル0.9μgに対し,ニトロソR塩,酒石酸及びEDTAの存在下で銅(II),鉄(II)は10μg,コバルトは20μg,カドミウム,水銀は30μg,亜鉛,鉛は50μg,マンガンは200μg及び鉄(III)は1000μgまで許容された.本法を河川底質中のニッケルの定量に応用した.
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© The Japan Society for Analytical Chemistry
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