2012 年 34 巻 1 号 p. 39-45
高齢者の他者との日常的な交流の実態を明らかにするために,「会って話をした」他者について記述・分析した.調査は,東京都杉並区に居住するひとり暮らし後期高齢者を対象に訪問面接法により実施された(回収率56.2%).
分析の結果,①多くのひとり暮らし後期高齢者は非親族との交流を有していること,②交流のある非親族では「近所の人」と「友だち」が多く,そのため他者の多くは,よく話をしたり,名前と連絡先の両方を知っている人であること,③それらの他者との間で話されるのは軽いあるいは習慣的な事柄であることが多く,情緒的サポートの授受はわずかなこと,そして④日常的に交流する他者のなかには役割のうえの関係のみを有する非親族もまた多く含まれていること,が示された.