分析化学
Print ISSN : 0525-1931
炭素炉原子吸光法による環境試料中の鉛の定量
松本 哲一平尾 良光岩崎 公俊福田 悦子花見 英俊奈良 志伸木村 幹
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1986 年 35 巻 7 号 p. 590-597

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抄録

各種環境試料中の微量鉛を迅速,正確に定量する方法を確立した.硝酸-過塩素酸-フッ化水素酸による試料の湿式分解,臭化水素酸系陰イオン交換法による鉛の分離精製及び炭素炉原子吸光法による鉛の定量という各段階を一つずつ吟味した.鉛の精製・濃縮における臭化水素酸系陰イオン交換法は,従来のジチゾン抽出などに比べて短時間に多数の試料を処理でき,しかも鉛のみを極めて選択的に分離できるため炭素炉原子吸光法におけるバックグラウンド補正を必要としなかった.試薬や空気からの鉛汚染に気をつけて,本法で標準岩石・標準植物試料を分析した結果は参考値と良く一致した.更に鉛含量の低い海藻とアワビを分析したところ,鉛汚染に極めて注意を払った報告値と同程度の値を示した.

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© The Japan Society for Analytical Chemistry
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