1987 年 36 巻 3 号 p. 164-168
炭酸ナトリウム含浸フィルターとリン酸含浸フィルターを組み合わせ,大気中の二酸化硫黄とアンモニアを同時分別捕集し,イオンクロマトグラフィーによる定量法の検討を行った.標準ガス発生装置で二酸化硫黄,アンモニアを発生させた場合,炭酸ナトリウム含浸フィルターによる二酸化硫黄の捕集効率は96%以上で,アンモニアの損失率は4%以下であった.一方,リン酸含浸フィルターによるアンモニアの捕集効率も96%以上と良好であったが,二酸化硫黄の損失率は高湿度で13%と,二酸化硫黄を若干捕集した.従って,実際に,これらのガスを同時分別捕集する場合,まず二酸化硫黄を炭酸ナトリウム含浸フィルターで捕集し,通過したアンモニアを次のリン酸含浸フィルターで捕集する必要がある.又,イオンクロマトグラフィーを用いた本法による二酸化硫黄及びアンモニアの検出限界は,大気採取量0.3m3で,共に2ppbであった.