分析化学
Print ISSN : 0525-1931
大気中の二酸化硫黄とアンモニアの分別捕集とイオンクロマトグラフィーによる定量
田中 茂駒崎 雄一池内 祥浩橋本 芳一
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1987 年 36 巻 3 号 p. 164-168

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抄録

炭酸ナトリウム含浸フィルターとリン酸含浸フィルターを組み合わせ,大気中の二酸化硫黄とアンモニアを同時分別捕集し,イオンクロマトグラフィーによる定量法の検討を行った.標準ガス発生装置で二酸化硫黄,アンモニアを発生させた場合,炭酸ナトリウム含浸フィルターによる二酸化硫黄の捕集効率は96%以上で,アンモニアの損失率は4%以下であった.一方,リン酸含浸フィルターによるアンモニアの捕集効率も96%以上と良好であったが,二酸化硫黄の損失率は高湿度で13%と,二酸化硫黄を若干捕集した.従って,実際に,これらのガスを同時分別捕集する場合,まず二酸化硫黄を炭酸ナトリウム含浸フィルターで捕集し,通過したアンモニアを次のリン酸含浸フィルターで捕集する必要がある.又,イオンクロマトグラフィーを用いた本法による二酸化硫黄及びアンモニアの検出限界は,大気採取量0.3m3で,共に2ppbであった.

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© The Japan Society for Analytical Chemistry
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