1989 年 38 巻 11 号 p. 608-612
模擬原始大気中で火花放電を行い,その生成物中の単糖類の分析を試みた.単糖類の分離分析法としては,アルドノニトリル酢酸エステル誘導体化後,GC及びGC/MSの適用を試みた.GCにおいて窒素リン検出器(FTD)を用いた場合,単糖類が高感度検出でき,メタン,窒素,水中での放電生成物の糖分画からも多くのピークが検出された.しかし,GC/MSによる分析結果からは既知の五炭糖類,六炭糖類は同定されなかった.メタン,水のみの混合物中からは微量のリボースなどの糖類が同定された.本結果は核酸塩基と糖との縮合物であるヌクレオシドの起源に重要な示唆を与えるものである.