1990 年 39 巻 1 号 p. 1-5
多成分のハロゲン化ベンゼン類を同時定量するために,GC/MS分析計を用いたマスクロマトグラフィーでの定量性を検討した.2-フルオロビフェニルの分子イオンM+(m/z172)の単位モル当たりのイオン電流を基準として,多くのハロゲン化ベンゼン類の特徴的な質量スペクトルピークにおけるイオン電流のモル相対強度を求めた.これらのモル相対強度は化合物の性質や質量スペクトルにおけるフラグメンテーションなどによって影響されるが,置換基の数が多いほど値が小さくなる傾向が見られた.ヨウ素などの原子半径の大きな置換基が付いていると,電子によるイオン化の際のイオン化断面積が増大するため,モル相対強度は大きくなる.精度はかなりのばらつきが見られたが,定量性については十分実用に耐えるものであった.