1955 年 4 巻 2 号 p. 109-110
赤外線吸収スペクトルによりクレゾール異性体3成分のみを分析する事は従来からも行われており,Thompson1),Friedel2)の報告があり本邦においても武内,倉谷の発表があるが,精留していないクレゾール留分または市販されている工業用クレゾールを定量する場合には,多かれ少なかれフェノールの混入が考えられ,このフェノールはo-およびp-クレゾールのkey bandと重複する強い吸収を有するので4成分系として定量しなければならない時が多い.実際にクレゾール工業製品中に多量のフェノールが含有されているものがあり,筆者の研究室においてその定量が必要となったので,この問題をとりあげてみた.