分析化学
Print ISSN : 0525-1931
鉄鋼中のマンガン迅速定量方法として過硫酸アンモニウム酸化,チオ硫酸ナトリウム滴定法の検討
向山 朝之小野 俊子柴田 篤
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1955 年 4 巻 2 号 p. 80-84

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抄録

鉄鋼中のマンガン迅速定量法には,硝酸銀を触媒として過硫酸アンモニウムで酸化し,亜ヒ酸ナトリウム標準溶液で滴定する方法が多く採用されている.この方法についてはSmithの発表以来多数の研究があるが,滴定の際マンガンの還元はMn3.3+附近でとまりMn2.0+迄は進まぬ故,試料溶液が淡黄色を呈し終点の判定に熟練を要し,また試料中のマンガン含有量によって標準溶液1ccのマンガン相当量が,異るともいわれている.これらの点を改良する目的で滴定の際,触媒としてオスミウム塩等を添加する方法,或は標準溶液として亜硝酸ナトリウム,亜ヒ酸ナトリウムと亜硝酸ナトリウムとの混合溶液,硫酸バナジル,シユウ酸またはシュウ酸ナトリウム等を使用する提案があるが,概しで一長一短のようである.
著者等は日本学術振興会所定の「鉄および鍋中のマンガン迅速分析法,第1法」,あるいは日本工業規格(JIS)の「銅および銑鉄のマンガン分析方法(3)」の指針において,亜ヒ酸ナトリウム滴定法の代りにチオ硫酸ナトリウム滴定法を試みた処,亜ヒ酸ナトリウム法に劣らぬように思われたので,その結果を報告する.

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© The Japan Society for Analytical Chemistry
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