分析化学
Print ISSN : 0525-1931
透析膜を被覆したグラファイトペースト電極を用いるヒト血清中尿酸のボルタンメトリーによる定量
木下 英明臼井 敏明
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1991 年 40 巻 8 号 p. 383-387

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抄録

ボルタンメトリーにおける固体電極は,タンパク質が存在すると尿酸への応答が劣下し,血清中尿酸の定量には適さない.電極表面にタンパク質が直接影響しないように,透析膜を被覆したグラファイトペースト電極を作製し血清中の尿酸の定量を試みた.尿酸とアスコルビン酸を含む溶液の電流値は両者が単独で存在するときの電流値の和であり,pH3.5で溶液をかき混ぜた場合はアスコルビン酸の酸化電流値は0.3Vより正の電位で一定値となり,0.4Vで尿酸の酸化が始まるので,例えば0.5Vの電流値から0.35Vの電流値を引くと尿酸による酸化電流値が得られることを示した.本電極を用いてpH3.5の血清溶液を測定した電流値から求めた血清尿酸量は,酵素を使用する比色法による測定値とよく一致した.

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© The Japan Society for Analytical Chemistry
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