分析化学
Print ISSN : 0525-1931
クラウンエーテルとアルカリ金属の包接現象のモンテカルロシミュレーションによる考察
高木 達也野田 昭宏前崎 博信松村 謙一藤原 英明
著者情報
ジャーナル フリー

1991 年 40 巻 8 号 p. 407-412

詳細
抄録

12-crown-4とLi+の錯形成反応における,溶媒-溶媒間相互作用の役割を考察するため,ジメチルエーテル溶媒中に12-crown-4とLi+を置いたモデルにより,MC(モンテカルロ)シミュレーションを行った.Li+と12-crown-4間の距離が,0.05nm,0.45nm,0.85nmの3点について検討したところ,Li+が,12-crown-4から遠ざかるにつれて,溶媒分子の分布が一様でなくなり,溶媒-溶媒間相互作用エネルギーの総和が不安定化の方向に変化することが見いだされた.このことは,12-crown-4が陽イオンを包接する際に,溶媒分子間相互作用がdriving forceとして働くことを示唆している.これらのMC計算の結果を視覚的に表現するために,溶媒分子の存在確率と配向とを同時に表現する,カラーグラフィックス用ソフトウエアの開発を行った.

著者関連情報
© The Japan Society for Analytical Chemistry
前の記事 次の記事
feedback
Top