1992 年 41 巻 10 号 p. 485-489
キャピラリー電気泳動にてタンパク質を分析する場合,分離管に用いるキャピラリーの内壁にタンパク質が吸着し,分離能,測定の再現性が悪くなるという問題がある.本報では,キャピラリーの内壁に,固定相としてポリエチレングリコールをコーティングすることによるタンパク質の吸着防止の可能性について調べた.コーティングはスタティック法により行い,固定相形成時のコーティング層の厚さ,架橋剤の濃度などのコーティング条件とキャピラリー電気泳動での理論段数,ピークの対称性などの分離性能との関係について調べ,最適コーティング条件を求めた.最適条件にてコーティングしたキャピラリーでタンパク質を分析したときの理論段数は(4~5)×105/mであり,コーティングしていないキャピラリーに比べて,3~5倍に改善された.又,10回繰り返し測定したときの相対標準偏差は0.36%であり,約1/7に改善された.