分析化学
Print ISSN : 0525-1931
マンガン(III)-ポルフィリン錯体固定化陰イオン交換樹脂を反応場に利用するアドレナリンの化学発光センサー
吉村 太志鈴木 剛彦山田 正昭保母 敏行
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1992 年 41 巻 4 号 p. 191-196

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抄録

触媒を固定化したイオン交換樹脂が化学発光センサーの反応場として利用できるかどうかを,アドレナリン化学発光反応を用いてフローインジェクション法により検討した.化学発光反応は陰イオン交換樹脂自体により促進され,強塩基性樹脂でその効果は著しく,イオン交換能のない樹脂(吸着剤)を用いたときに比べて発光強度は約100倍増加した.又,触媒として陰イオン性のマンガン(III)-ポルフィリン錯体を強塩基性樹脂に固定化した反応場では,更に発光強度が7.5倍ほど増加した.上記固定化樹脂は十分センサー素子として利用できることが判明し,アドレナリンの応答は3×10-6M(20μl注入の検出下限)から1×10-3Mまで直線となり,5×10-5Mの相対標準偏差(n=10)は3.5%であった.実際に血管収縮止血剤中のアドレナリンの定量に応用した.

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© The Japan Society for Analytical Chemistry
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