1992 年 41 巻 4 号 p. 197-201
産業廃棄物に含まれる六価クロムを,イオンクロマトグラフィー(IC)によりアルカリ性条件下で定量する方法を確立した.分離カラムとして陰イオン交換カラム(Dionex製HPIC AG-4A)を,溶離液として炭酸塩-炭酸水素塩溶液を用いたところ,他のイオン種の妨害もなく定量することができた.なお,六価クロムの検出・定量にはUV検出器を用いて波長370nmの吸光度を測定した.定量下限値は0.3mg/l,回収率は0.5,5.0,10.0mg/lの添加でそれぞれ104%,98.4%98.3%であった.実試料に適用したところ,JIS法では試料液を硫酸酸性にする操作でクロムが還元されて検出できなかったが,本法では0.4mg/lの六価クロムを検出することができた.