分析化学
Print ISSN : 0525-1931
化学発光検出超臨界流体フローインジェクション法によるラクトンの微量定量
石井 幹太小池 充
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1993 年 42 巻 3 号 p. 173-181

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抄録

超臨界流体(SCF)の高密度流体特性を利用した微量ラクトンの化学発光(CL)分析法をFIAを用いて確立した.本分析システムは1流路から成る.CLは2基の注入器(試薬用S1:100μl,試料用S2:20μl)を用いてCO2-SCF中に試薬(NaOH/C2H5OH),試料(ラクトン/CH3COCH3)の順で導入して発生させる.CL発生機構は次のとおりである.ラクトンとNaOH及びC2H5OH/NaOHとの反応でそれぞれオキシカルボン酸とグリコール酸エステルが生成する.それらの反応でジエステルが生成し,溶存酸素と反応して過シュウ酸エステル様の高エネルギー中間体が生じる.この励起化合物からCLが得られる.又CLはCO2-SCFで増感される.本分析システムの分析化学的特性(代表としてγ-ブチロラクトン:γ-BuLac)は以下のとおりである.検出下限:1.0×10-10M(20μl注入法:S/N=2).検量線の直線範囲:1.0×10-9~1.0×10-7M.選択性:ラクトンに高選択的でβ-BuLacなど他のラクトン類には同程度の感度を有してCLが得られる.再現性:RSDで5.5%(20μl注入法で1×10-8Mのγ-BuLac試料の5回繰り返し測定).分析所要時間:約3秒.コーヒーエッセンス中でのγ-BuLacの回収試験も良好であった.

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© The Japan Society for Analytical Chemistry
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