1995 年 44 巻 10 号 p. 853-858
タンパクの圧変性に伴う光学認識能の変化を観察するため,既に光学認識能の知られているタンパク(ウシ血清アルブミン又はニワトリオボムコイド)を高圧条件下で吸着させたアルキル化シリカゲル(オクタデシルシリカ又はアミノプロピルシリカ)を調製し,HPLC用充てん剤として用いたときの,種々の対掌体の分離におけるエナンチオ選択性について検討した.その結果試作した充てん剤は,特にアミノプロピルシリカーウシ血清アルブミン充てん剤に代表されるように,圧変性を伴いながらもタンパクの光学認識能を一定程度保持し,更に血清タンパク等を保持しない性質を示しながら,比較的長時間にわたる血清試料の連続分析を可能にした.このことは,カラムライフの向上を目指した光学認識能を有するタンパク固定化充てん剤の合成法として,高圧条件が新たなパラメーターとして導入できる可能性を示唆している.