分析化学
Print ISSN : 0525-1931
界面活性剤共存下における1,10-フェナントロリンを用いるコバルト(II)の化学発光定量
渡辺 邦洋山崎 剛板垣 昌幸
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1996 年 45 巻 10 号 p. 897-902

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抄録

1,10-フェナントロリンを用いたミセル増感化学発光系を利用し,フローインジェクション分析法によるCo(II)の定量法を検討した.FIAシステムはPhen溶液,過酸化水素溶液,キャリヤーとして再蒸留水の3流路からなり,Phen溶液{Phen(6.0×10-5M),NaOH(0.05M),CTAB(7.5×10-3M);0.4ml/min},過酸化水素溶液{H2O2(7.2%);0.4ml/min}},キャリヤー{蒸留水;0.8ml/min}で行った.チューブ内径は1mmのものを使用した.試料濃度と発光強度の関係は,試料量200μl注入した場合には5~50ppbの範囲で,連続的にキャリヤーに試料を流した場合には1~100ppbの間で直線性を示した.この反応系でミセル増感効果を検討した結果,ミセルはCo(II)とPhenのキレート生成速度を高めること, コバルトキレート及び化学発光種のミセルへの濃縮が一因であることを明らかにした.又,CTABからなるミセルの粒子径と会合数が求められ,7.5nm,49であることが分かった.

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© The Japan Society for Analytical Chemistry
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