分析化学
Print ISSN : 0525-1931
アルコール水溶液の誘電特性とミクロ構造
武井 尊也杉谷 嘉則天野 力西本 右子
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1996 年 45 巻 10 号 p. 903-908

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抄録

溶液のミクロ構造を解明するため,その比誘電率εrを共振周波数fRの変化を通じて測定する簡便な手法を提案した.測定方法の原理を示し,解析法の妥当性を検討した.アルコール水溶液では水のモル分率Xwの増加に従い, 共振周波数は低周波側へシフトしていくが,Xw=0.85付近で飛躍が生じ, それ以後濃度変化に依存せずほぼ一定となることが分かった.アルコール-アルコール混合溶液では, 溶液温度によって不連続的に共振周波数が変化しており,アルコール分子同士の会合状態の変化が生じていることを示唆している.本報で提案した簡便な装置で観測されるfRの変化,すなわちεrの変化は,溶液中での極性分子の分散あるいは会合状態の変化に鋭敏であり,溶液のミクロ構造を解明するのに有用な情報を与える可能性を示している.

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© The Japan Society for Analytical Chemistry
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