抄録
硝酸イオン電極による野菜中の硝酸塩の分析を試みた.野菜は硫酸銀溶液で浸出後,その一部を陰イオン交換樹脂カートリッジに課した.水で洗浄後,吸着した硝酸塩はリン酸一カリウム溶液で溶出させてイオン電極(ISE)により測定した.この浸出液は,同時にイオンクロマトグラフィー(IC)による分析も行った.多くの野菜において両測定結果はよく一致した.一部の有機酸や糖質を多く含んだ野菜では,両者に差が生ずることがあった.しかし,ISE法はIC法に比べて単位時間当たりの検体処理数に優れることより,同一種の検体を数多く測定するのに適した方法と考えられる.