分析化学
Print ISSN : 0525-1931
プレカラムキレート化/オンラインカラム濃縮/自動高速液体クロマトグラフィーによるウシ肝臓中のppmレベルの重金属の同時定量
一ノ木 進山崎 満大村 美由紀永井 里佳
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1996 年 45 巻 9 号 p. 837-844

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抄録

Cd,Ni,Pb,Zn,Cu,Hg,Co及びBiイオンをヘキサメチレンジチオカルバミン酸キレートとして,オンラインでミニカラム(C18)に濃縮した後に分析カラムで分離し,紫外検出する方法を自動化するための種々の実験条件を検討し,最適分析条件を確立した.本法を米国NISTの生体標準試料Bovine Liverに適用した.乾燥した試料の100mgを,硝酸と過塩素酸を用いて湿式灰化し,使用した酸を蒸発乾固した後,残留物を希塩酸に溶解し,その一定量をHPLC分析に用いた.最適化した自動HPLC法によって,標準液系列を調製しながら検量線を作成し,次に試料溶液を測定した.その結果Bovine Liver中のZnとCuが検出されたが,ほかのCd,Niなどは検出できなかった.本法による定量結果は,Zn 124±2,Cu 156±3μg/gとNISTの保証値(Zn 123±8,Cu 158±7μg/g)とよく一致し,繰り返し再現精度(n=8)も約2%と良好であった.

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© The Japan Society for Analytical Chemistry
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