1958 年 7 巻 5 号 p. 304-309
中和滴定法によって硝酸繊維素中の窒素および硫硝混酸中の硝酸が迅速にかつ精度よく定量できた.
試料をアルゴン気流中で6~8N塩酸々性で硫酸第一鉄とともに煮沸すると酸化窒素を生成し亜酸化窒素の副生は認められなかった.この酸化窒素ガスを水酸化ナトリウム溶液で洗い,つぎに酸素および過酸化水素で酸化して硝酸とし,N/10水酸化ナトリウム標準液で滴定した.
本法を硝酸繊維素中の窒素の定量に応用すると,従来の諸法に比較して試料が短時間で完全に分解され,所要時間30~40分間で標準偏差0.02%以内で定量できた.また本法によって,硫硝混酸中の硝酸が共存する硫酸の影響なく精度よく定量できた.