分析化学
Print ISSN : 0525-1931
真空溶融法と酸溶解蒸留法の窒素分析値の差について
井樋田 睦
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1959 年 8 巻 12 号 p. 786-791

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抄録

鉄鋼中の窒素分析法としては従来から酸溶解蒸留法と真空溶融法が用いられているが,両法の値は必ずしも一致しないのでしばしば問題を生じていた.一般に真空溶融法の方が酸溶解法より低値をあたえばらつきも大きいが,検討の結果,その主な原因は真空溶融法においては溶鉄から窒素が完全に抽出され難いためであり,またアルミニウムなど窒素と親和力の強い元素の蒸着金属によって一度抽出された窒素ガスがふたたび吸着されることもあることがわかった.したがって鋼中の微量の窒素を正確に求めるには酸溶解法によった方がよい.しかし高窒素試料においては相対的に誤差が小さくなるので,適当な補正を行えば真空溶融法を利用できる場合もある.

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© The Japan Society for Analytical Chemistry
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