1960 年 9 巻 5 号 p. 402-409
題記両試薬をBamberger法により合成し,その四塩化炭素溶液を用いて基礎的性質を検討した.両試薬およびp-ブロム誘導体の金属錯塩溶液の可視部における極大吸収波長はジチゾンおよびジチゾン金属錯塩溶液のそれよりも長波長側に,またo-ブロム誘導体の金属錯塩溶液の極大吸収波長はp-ブロム誘導体の金属錯塩溶液のそれより短波長側にある.o-ブロム誘導体の金属イオンとの反応性はp-ブロム誘導体のそれに比し低い。さらに両試薬および金属錯塩溶液の極大吸収波長における分子吸光係数およびHg2+,Cu2+錯塩の抽出係数を測定し,ジチゾンにおける値と比較検討した.