物性論研究 2集
Online ISSN : 1883-7816
ISSN-L : 0366-4341
二電子スピンHamiltonianについてのself-consistentな解の性質について
志水 正男林 英輔
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1963 年 13 巻 1 号 p. 53-74

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抄録

Hartree-Fock法に基いて、実際に多電子系の状態をself-consistentな解として求めるとき、最初に仮定される全系波動函数の対称性とHartree-Fock方程式を変分法で導く際に用いる変分の副条件のとり方によって、解が影響を受ける。簡単に計算出来る例として二電子スピンHamiltonianについて、全系波動函数の形、即ち対称性の択び方と変分の副条件の二種の異ったとり方を組合せた種々の異つた解法を用いて解を求め、正しい解と比較する。
self-consistentな解が正しい解であるためには、全系の波動関数は、正しい対称性を満していることが必要である。又同時に変分の副条件としては、全系波動函数の規格条件のみを用いる方が一般に正当である。副条件として、一電子函数の規格直交条件を用いると、我々の討算した例では、全系波動函数が反対称な場合はやはり正当な解を得るが、対称な揚合には、正しい解以外に、余分な正当でない解を生じたり、或は、正しい解を得られず、全く正しくない解を得ることがある。

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© 物性研究・電子版 編集委員会
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