1959 年 5 巻 2 号 p. 126-141
ReadがN型半導体の電気泳動度とHall易動度が荷電転位によってどの様に換わるかを調べた研究は知られている。この論文では同様な立場に立って熱起電力への影響を論じてある.熱起電力はFermi levelとKTとの比による項(Fermi項)と散乱項との和で与えられる.散乱項の計算にはReadの空間荷電のcylinder modelが用いられたが低音ではかなり大きな効果をもつ.高温では転位濃度が107cm-2あたりまではほとんど問題にならない。Fermi項は両方の温度領域で効果をもち,資料の不純物濃度が小さくて転位濃度が大きければ著しい影響を受ける.低温では転位濃度の増大につれてFermi項は増大するが,高温では逆に減少する.