2010 年 65 巻 9 号 p. 699-703
リラクサー強誘電体(1-x)Pb(Mg_<1/3>Nb_<2/3>)O_3-xPbTiO_3(PMN-xPT)では,結晶構造が変化する組成領域で巨大な圧電効果が現れる.しかし結晶中の不均一な分極構造は十分に理解されておらず,バルク物性との関係にも不明な点が多い.本稿では,PMN-xPTの熱伝導率と比熱がxの増加によりガラス的から結晶的な振る舞いへと系統的に変化することを紹介し,熱測定がナノスケールの不均一性を調べるのに有力なプローブであることを示す.