日本物理学会誌
Online ISSN : 2423-8872
Print ISSN : 0029-0181
ISSN-L : 0029-0181
宇宙X線衛星「すざく」による非熱的宇宙物理学の開拓(最近の研究から)
高橋 忠幸内山 泰伸牧島 一夫
著者情報
ジャーナル フリー

2010 年 65 巻 9 号 p. 707-712

詳細
抄録

非熱的放射を示す天体現象の研究は,宇宙線の加速機構やその加速現場を探るとともに,宇宙のエネルギー形態の一つである非熱的エネルギーの果たす役割を知る上で重要である.硬X線領域での放射スペクトル測定は,熱的放射から切り離された非熱的放射を選択的に調べることを可能にするが,これまでの衛星では高い感度が得られなかった.日本のX線衛星「すざく」は,広いエネルギー範囲でのスペクトル測定に威力を発揮し,硬X線領域においては世界最高の感度を有する.本稿では「すざく」による硬X線観測の結果を中心として,高エネルギー粒子加速(超新星残骸,ガンマ線連星)と極限状態での非熱的現象(マグネター)の研究を紹介する.

著者関連情報
© 2010 一般社団法人 日本物理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top