2012 年 67 巻 10 号 p. 685-689
コヒーレントフォノンは,フォノンの振動周期よりも短いパルスレーザー光を固体に照射することで生じる,マクロな空間スケールで位相のそろった原子の振動運動であり,その生成機構に関していくつかのモデルが提案されている.著者らは,パルス光の照射により固体中に生じるフェムト秒スケールの電子と原子核の量子ダイナミクスに対し,時間依存密度汎関数理論に基づき非経験的に記述する計算方法の開発を行っている.この方法をSi結晶とパルス光の相互作用に適用することにより,コヒーレントフォノンの生成機構を定量的に明らかにすることができた.