2017 年 72 巻 2 号 p. 86-91
ALMAによる原始惑星系円盤の観測研究を概観する.ALMAの卓越した撮像能力は,原始惑星系円盤の構造をかつてない詳しさで明かしつつある.特に,惑星形成と直結するような小スケール構造の検出や,円盤内の著しいダスト濃集を捉えた点が,大きな進展である.円盤の顕著な非軸対称性や106年未満のタイムスケールでのガス惑星形成の兆候は,古典的な太陽系起源論では十分に考慮されていなかった状況であるが,一方で,一般的な惑星形成論の確立に向けた新たな足がかりとも位置づけられる.