日本物理学会誌
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回折結晶学と位相問題. I
細谷 資明
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1970 年 25 巻 2 号 p. 110-122

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抄録
結晶の構造解析は主としてX線の回析を用いて行われる。各反射の強度は測定できるが位相は測定できない。この位相の情報を回復しないと原子の周期的配列は求められない。このいわゆる位相問題の解決法には色々あり, しいて分類すれば数学的方法・化学的方法・物理的ないし光学的方法となろう。これらを組合わせた方法もあるが, ほぼこの順に発達してきた。したがって最後の物理的方法の大半は実用という点からはまだ重要でないが, 回析に関する種々の現象が関係していて興味深い。ばだ時期尚早の点もあるが, 将来の可能性の芽ばえについてもふれたい。I では主として数学的方法について, II ではその他の方法について述べる。
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