量子論の開拓における Einstein の業績は顕著なものであったが, のちに量子力学の批判者として終始することを考えあわせると, その歴史的な役割についての評価は単純に片付けられない。小論では, Einstein の量子論研究から量子力学批判にいたるまで, 一貫してみられるかれの物理学観を考えてみながら, 確率・統計論的方法をあくまでも探究の論理として限定したとらえ方をしていることに注目する。とくに Einstein の光量子論が現われる過程を, 物理学史的に歴史現象として考察すれば, このような Einstein の学問的構想が初期の研究過程のなかにも, はっきりと指摘できることを論述した。
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